このところ毎年、経団連の意向を受けて大学生の就活時期が変わっています。大学生にとっては見通しが立たなくて、気の毒なことだと感じます。
今年は去年と同じ時期設定で、5月が一番忙しいスケジュールです。
6月から解禁とはいうものの、
4月に説明会、
5月には何回かの面接という段取りです。
判で押したような同じ鞄に同じ髪型の女子学生を街中でよく見かけます。応援せずにはいられません。
高校生・大学生の就活「夢ややりたいことを仕事にしなくてもいい」
さて、就活して、進路を決めて行くときに、大事なことを一つ挙げるとしたら、
「夢ややりたいことを仕事にしなくてもいい」ということです。
今から十五年ほど前に『13歳のハローワーク』という本が出版され、ベストセラーになりました。
たくさんの職業が紹介されて、その中にある職業を選ぶような教育が流行りました。
選ばないまでも、生徒に夢を探させて、夢の実現のために勉強しようという方法は今もキャリア教育の主流です。
中学校では特にまだこの方法が多いです。
でもそれは本当に良い指導なのでしょうか。
中学生の語る夢の中に、「工場でラインにつきたい」を上げる生徒は何人いるのでしょうか?
たぶんほとんどいないでしょう。
中学生は、看護師、銀行員、アナウンサー、トラック運転手など、人目に触れやすい仕事を選びます。
でも現実には多くの生徒が工場の製造現場についていきます。
工場に勤務することは全く悪いことではありません。
むしろ誇りを持って働くべきです。
でも、中学生のキャリア教育で、果てしない夢を語ってしまったことで、
「工場に勤務しているのは夢が叶わなかったから」
と思うことにもなりかねません。
本当は自分は看護師になるはずだったんだけど、無理だったから工場にいく。
そんな風に考えて働くとしたら生涯不幸です。
夢に近づくキャリア教育の功罪
幼い頃でしたら無邪気に夢を語ることは誰しもにあることでしょう。
そして、中学、高校生と成長するにしたがって、だんだん現実が見えて来て、叶わない夢を語らなくなるのが普通です。
でも、中学校で「夢に近づくキャリア教育」をしすぎると、
大人になってから「夢をあきらめた自分」を認めなければならない人が溢れることになってしまいます。
学校は今までのキャリア教育の功罪を洗い出す時期に来ていると思います。
就職を前にした高校生や、大学生のみなさん。
夢に縛られた自分から脱却してほしいと思います。
夢や好きなことを仕事にしないと自分に負けているなんて思わないで欲しいです。そう考えさせてしまうキャリア教育に問題があるのです。
人生における仕事・労働とは?
仕事は生き甲斐です。
人生のほとんどを職場で過ごしますから、どんな職につくかはとても大きな問題です。
でも仕事だけが生き甲斐ではありません。
得た成果で生活し、楽しむ。
シンプルに考えたらどうでしょう。
就活中の大学生のみなさん。
心から応援しています。