『枕草子』うつくしきもの 現代語訳 おもしろい よくわかる 古文

『枕草子』うつくしきものの原文冒頭

うつくしきもの。瓜にかきたるちごの顔。すずめの子の、ねず鳴きするに踊り来る。二つ三つばかりなるちごの、急ぎてはひくる道に、いと小さきちりのありけるを目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人などに見せたる。いとうつくし。頭は尼そぎなるちごの、目に髪のおほへるをかきはやらで、うちかたぶきてものなど見たるも、うつくし。

大きにはあらぬ殿上童の、装束きたてられてありくもうつくし。をかしげなるちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、かいつきて寝たる、いとらうたし。

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『枕草子』うつくしきもののあらすじ

清少納言が考えた、可愛らしいものを列挙する。ものづくしの段の一つ。全部で16個の具体例。

『枕草子』うつくしきものの超現代語訳

これも私(清少納言)が考えた「〜もの」シリーズ。

後の世の人は 「ものづくし」の段って結構好きみたい。
1000年も後の人と同じ感覚ってなんか嬉しいような、気味悪いような。

で、現代語訳ね。

かわいらしいものシリーズね。

「うつくしき」って美しいって意味じゃなくて、「かわいらしい」って意味よ。言葉って時代と共に変わるから、なくなっちゃう語もあるし、意味が変わってるのもあるわね。そんでもって、受験に出されるのは、意味が変わった語よ。注意ね。

1 まずは瓜に描いた子どもの顔。この時代は、丈の長い瓜に着物着せたりして、人形の代わりにして子どもが遊んだのよ。それに描いてあるお顔。変だけどかわいいのよ。

2 雀のちっちゃいのが、ちゅっちゅってネズミみたいな声で呼んでやるとぴょんぴょん寄ってくるの。

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3 2.3歳の幼い子が、あっ!2歳っても昔は数え年だったから、今の1歳よ。こっちへおいでなんて言うと、急いで這ってくるじゃない、その途中でゴミなんかあるのを目ざとく見つけてね、かわいらしい指でちょっと摘んで、大人に見せたりするの。あれかわいいわよね。

4 これも子どもネタなんだけど、おかっぱ頭の女の子で、目に髪がかかるのを搔きあげもしないで、何かを見る時には髪が邪魔だから首傾けて見るの。あれもまたかわいらしいわよね。

5 子どもシリーズね。
そんなに大きくない殿上童で、立派に衣装着飾られて、うろうろしてるのもまたかわいらしいわ。

6 ほっこりする赤ちゃんを可愛がって抱いてるうちに、私にすがるように寝ちゃうの。愛くるしいわね。

7 お雛様のお道具。

8 蓮子の浮いてる葉のとっても小さいのを池から取り上げたの。

9 葵の小さいもの。どんなものでも小さいものはかわいいわよね。

10 とっても肥えた赤ちゃんで、2歳くらいになる子が、二藍の薄物の着物で丈が長いのを着せられて、たすき掛けして着物が落ちないようにしてるのに、ハイハイしたりした時に着物から出ちゃったの。

11 また丈は短く着せられてるんだけど、袖が長くて床に擦るように着てるのもかわいいわよね。

12 八つ九つ十くらいの男の子が、まだ声変わりしていない子どもの声で、漢文を音読しているの。あれもたまらないわね。

13 鶏の雛で、足が長く見えて白く可愛らしい様子で、まるで短い着物着てるみたいでね、ピヨピヨってやかましく鳴きながら、人の前や後ろをちょろちょろするのもまたいいわよねぇ。

14 また親が雛を連れて歩くのもみんなたまらないわね。

15 雁の子。

16 瑠璃の壺。

私が思う「うつくしきもの」はこんくらいかな。

先生の感想

先生
この段を読むと、清少納言が子どもに対して、温かい視線を注ぎ、瞬間の表情を見逃していないことがわかります。当時から「出来る女」は、仕事もしながら、子どもも大事にして愛することを惜しまなかったのですね。
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-おもしろい現代語訳

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