『更級日記』 乳母の死 現代語訳 おもしろいよくわかる古文

『更級日記』 乳母の死 の原文冒頭

その春、世の中いみじう騒がしうて、松里の渡りの月影あはれに見し乳母も、三月一日に亡くなりぬ。 せむかたなく思ひ嘆くに、物語のゆかしさもおぼえずなりぬ。いみじく泣き暮らして見いだしたれば、 夕日のいと華やかに差したるに、桜の花残りなく散り乱る。

『更級日記』 乳母の死 のあらすじ

源氏物語の世界が京そのものだとあこがれて上京した女の子が、
上京三ヶ月後に乳母やあこがれの姫様の死を経験し心塞ぐ様子。

『更級日記』 乳母の死 の超現代語訳

その年の春、疫病が流行して、
国中が大変なことになって、
私の乳母も亡くなったの。

千葉を離れる時に、松里の渡しで乳母に会ったのよ。

旅が始まって2週間くらいたった時だったかしら。
乳母はちょうど出産直後でね、
粗末なあばら家で横たわっていたわ。
あの時の薄っすら差してた月の光に照らされた乳母の美しい姿。

忘れられないわ。

命日は三月一日。
上京して三ヶ月後のことよ。
自分でもどうしようもないくらい落ち込んでしまって、
物語を読むことさえも気持がなくなってしまったの。

毎日毎日泣いてばかりでね。

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そんな時にふと、外を眺めたら、夕日がもう一面に差してる所に、桜の花が地面が見えないくらい散ってるの。なんかしみじみしちゃって。歌詠んだわ。

「花は一度散ってもまた春はやって来て、春にはまた見られるわ。だけどあのまま別れてしまった乳母には、二度と会えないのよね。」

この頃お噂では、侍従の大納言の姫君が、お亡くなりになられたみたい。ご主人の殿の中将がお嘆きになる様子も聞いたけど、私も同じ気持ちだから、気の毒で気の毒でね。

上京したばっかりの時だったかしら、どなたかが、「これをお手本にしなさいね」とおっしゃって、この姫君のお書きになったご筆跡を下さったの。

それに

「夜が更けて眠りから目覚めなかったなら読んでね」

なんて断り書きがあって、古今集のお歌をいくつか書いてあったの。姫様のお手で。その中に

「もし鳥辺山の谷に煙が燃え立ったならば、それは弱かった私が空に昇っているのだと知ってほしい。」っていう歌があったのよ。綺麗な筆跡よ。

まるでご自身の未来を見通していらっしゃったみたいでね。もうすぐ亡くなるって知ってらっしゃったみたいじゃない。それを拝見したらまたいっそう涙が増えたわね。

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