『宇治拾遺物語』児のそら寝 現代語訳 おもしろい よくわかる 古文

【宇治拾遺物語】児のそら寝 原文冒頭

僧たち、宵のつれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり。

さりとて、し出ださむを待ちて寝ざらむも、わろかりなむと思ひて、片方に寄りて、寝たる由にて、出で来るを待ちけるに、すでにし出だしたるさまにて、ひしめき合ひたり。

【宇治拾遺物語】児のそら寝 あらすじ

比叡山で修行中の児の笑える話。

ある夜、僧たちがぼたもちを作ることを盗み聞きした児。自分も食べたくて仕方ないが、出来上がりにすぐ返事をしないで、随分あとになって返事をして、周囲の笑いを誘ったという話。

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【宇治拾遺物語】児のそら寝 超現代語訳

むかーし昔、
比叡山にいる一人の児の話。

児っていうのはお寺で働く雑用係の子どもって感じかな。
修行もするけどね。僧は大人だよ。

僧たちが夕方まったりしちゃって、
何かしようって話になって、

「じゃあ、ぼたもち作ろうよ」
って言ったのを、児はこっそり聞いちゃったんだ。

今晩はぼたもちが食べられるのか!って、期待しちゃうよね。

いつもは精進料理で、
砂糖を使った餅なんて、
本当に食べられないんだから当然だよね。

今の高校生の焼肉への期待なんてもんじゃないよ。
焼肉plus寿司plusスイーツってとこかな。

児は期待が募ったんだけど、
出来上がりを寝ないで待ってるなんてことが、
僧たちにわかったら、
とってもみっともないなって考えたんだ。

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そうだ!
部屋の隅っこで、
寝たふりして待ってれば、
声かけてくれるから、
そしたら起きよう!

と狸寝入りをして、待ってたんだよ。
子どもながらに考えたんだね。

しばらくしたら出来上がった感じでざわざわし始めたんだ。

児はきっと僧の誰彼が起こしてくれるだろうって思って、
耳を澄ましてじーと待ってたんだよ。

そしたら僧が

「もしもーし、お起きなさいまし」と言ったんだ。

児はやったぁって嬉しくてたまらなかったんだけど、

いや、今すぐ返事するのは卑しいや。
待ってたのかってのも見苦しいな。
もう一回呼ばれてから返事しようかな。

と、こらえてまた寝たふりしたんだ。

そしたら僧たちが言うんだよ。

「おいおい、お起こしなさるな。子どもなんだから寝入っておられるんだよ」と。

えぇ?!?!そんな。。辛すぎる。

と、

もう一回起こして下さいよぅ。

と思いながら横になったまま聞いてたら

むしゃむしゃとぼたもちをみんなで食べる音がしたんだよ。

ひゃあ。
このままでは食べそびれちゃう!
と思った児は、もう仕方なくなって、

僧たちが呼んでくれてから随分時間が経ってるのに、

はーい
って返事したんだよね。

もう僧たちは大爆笑。

子どもながらに気を遣ってたなんて、かわいい奴だなって

【豆知識】僧が児に敬語なのはなぜ?

立場は明らかに僧の方が上ですが、
立場だけで敬語を使うわけではありません。

特にここでは、僧の会話の中で使われています。

ですから、僧たちにとって、
この児は敬語の対象となる程大事にされていたのだと考えましょう

宇治拾遺物語の次の話「田舎の児」も同様です。

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